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ClamAV (Clam AntiVirus)への移行 [Linux]

1. 背景


これまで Linux 上でのウイルスチェックには、下記のフリー版を使用してきた。

・Avira AntiVir Personal (v2.1)
・BitDefender Antivirus Scanner for Unices

しかし、下記の理由から、もうすぐ使用できなくなる(いつまで使用できるかは不明)。

・Avira AntiVir Personal
 2016-06-30 をもって、Linux 版のサポートが終了となる。

・BitDefender Antivirus Scanner for Unices
 2016-02-02 付けで、今後はサポートされない旨の告知があった。
 また、2016-06-20 時点で、フリー・ライセンスの更新ページがなくなっている。
 (年次でのフリー・ライセンスの更新ができず、ウイルス情報を更新できなくなる。)

このため、ClamAV (Clam AntiVirus) への移行を行った。


2. 要件


・ウイルス情報の更新、ウイルスチェックは cron を使用して時刻指定で起動する。
 (また、必要な場合には、任意のタイミングで手動で起動する。)

・複数の Linux をマルチブートするため、ウイルス情報を共有する。
 (CentOS 6、CentOS 7、Debian 7、Debian 8 で共有する。)

・受信メールのウイルスチェックは、Procmail と ClamAV を組み合わせて実施する。
 (詳細は省略。また、ISP が当該機能を無料で提供する場合には、そちらを使用する。)


3. 前処理


ウイルス情報を共有するため、実行ユーザーの UID、GID を統一する。
設定例は、下記の通りである。

(1) CentOS 6 の場合

# grep clam /etc/group
clam:x:502:
# grep clam /etc/passwd
clam:x:131:502::/var/lib/clamav:/bin/false


(2) CentOS 7 の場合

# grep clam /etc/group
clamupdate:x:502:
# grep clam /etc/passwd
clamupdate:x:131:502::/var/lib/clamav:/sbin/nologin


(3) Debian 7、Debian 8 の場合

# grep clam /etc/group
clamav:x:502:
# grep clam /etc/passwd
clamav:x:131:502::/var/lib/clamav:/bin/false

4. インストール


(1) CentOS 6 の場合


EPEL リポジトリから下記のパッケージをインストールする。

clamav-0.99.1-1.el6.i686
clamav-db-0.99.1-1.el6.i686


(2) CentOS 7 の場合


EPEL リポジトリから下記のパッケージをインストールする。

clamav-0.99.1-1.el7.x86_64
clamav-data-0.99.1-1.el7.noarch
clamav-filesystem-0.99.1-1.el7.noarch
clamav-lib-0.99.1-1.el7.x86_64
clamav-update-0.99.1-1.el7.x86_64


(3) Debian 7、Debian 8 の場合


標準のリポジトリから下記のパッケージをインストールする。

clamav
clamav-base
clamav-freshclam
libclamav7


(補足)
Debian 7 では v0.99、Debian 8 では v0.99.2 がインストールされる。


5. 設定


(1) ウイルス情報の共有のための設定


・/var/lib/clamav/ を 共有ディレクトリに移動する。
・/var/lib/clamav を上記で移動したディレクトリへのシンボリック・リンクにする。


(2) ウイルス情報の更新のための設定


(a) 初期設定の無効化


実施する時刻を独自に設定するため、下記の初期設定を無効にする。

# CentOS 6 の場合
/etc/cron.daily/freshclam

# CentOS 7 の場合
/etc/cron.d/clamav-update

# Debian 7 の場合
/etc/init.d/clamav-freshclam の自動起動

# Debian 8 の場合
clamav-freshclam.service の自動起動


(b) cron への登録


freshclam を実行するためのエントリを追加する。


(3) ウイルスチェックのための設定


(a) cron への登録


clamscan を実行するためのエントリを追加する。


6. 備考


(1) ウイルス情報の取得のために接続するサーバー


下記のファイル内の DatabaseMirror で指定されている。

# CentOS 6、CentOS 7 の場合
/etc/freshclam.conf

# Debian 7、Debian 8 の場合
/etc/clamav/freshclam.conf

(補足)
初期値として指定されているサーバーには複数の IP アドレスが設定されている。
(nslookup の実行結果で確認できる。)
このため、DNS ラウンドロビンによるロードバランシングが行われる。


(2) ウイルス情報の取得時のワーニング


インストールされている ClamAV のバージョンが古い場合に表示される。
(動作上は問題ない。)

(例)
WARNING: Your ClamAV installation is OUTDATED!
WARNING: Local version: 0.99 Recommended version: 0.99.2


また、--no-warnings の指定により、ワーニングの表示を無効化できる。



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