Debian 9からDebian 10へのアップデート後の問題点への対応 [Debian]
以下は、アップデート後に発生した問題点と対応方法をまとめたものである。
[一般的なアップデート方法]
・使用中のリポジトリでの最新パッケージへの更新
・参照するリポジトリの変更 (/etc/apt/sources.list の編集、apt-get update の実行)
・最小アップグレード (apt-get upgrade の実行)
・完全アップグレード (apt-get dist-upgrade の実行)
・/etc 以下の *-dist への対応 (削除 or 適用)
1. [Emacs 26.1 の起動時に scratch バッファが表示される] ことへの対応
【発生事象】
・~/.emacs で (shell) を実行しているが、scratch バッファも表示される。
・initial-buffer-choice の設定値は nil である。
・余分なバッファが表示されるだけで、その他の動作上の問題はない。
・Emacs のバグの可能性あり(scratch バッファーが無条件に表示されてしまう)。
【パッケージ】
emacs24 1:26.1+1-3.2+deb10u1
【対応】
取り敢えず、~/.emacs の (shell) の後に下記の設定を追加する。
(when (>= emacs-major-version 26) ;; disable to display scratch buffer at startup (Emacs-26 or later) (delete-windows-on "*scratch*" nil))
2. ['lsb_release -rs' で 10.1 ではなく 10 と表示される] ことへの対応
【発生事象】
% lsb_release -rs 10 % cat /etc/debian_version 10.1
【パッケージ】
lsb-release 10.2019051400
【対応】
現時点では不明である。
3. [SSL でのメール受信ができない] ことへの対応
【発生事象】
[エラーメッセージ] OpenSSL reported: error:141A318A:SSL routines:tls_process_ske_dhe:dh key \ too small SSL connection failed.
・原因
OpenSSL 1.1.1 において、SECLEVEL のデフォルト値が変更されたため。
(デフォルト値: SECLEVEL 2)
尚、これにより、DH 鍵の最小サイズが 1024 から 2048 bit に変更された。
【パッケージ】
openssl 1.1.1d-0+deb10u2
【対応】
下記のパッケージにバージョンダウンする。
・openssl 1.1.0k-1~deb9u1
・stunnel4 3:5.39-2
stunnel4 はそのままでも SSL でのメール受信が可能である。
stunnel4.service の起動エラーが発生するため、念のためバージョンダウンする。
・ca-certificates 20161130+nmu1+deb9u1
openssl 1.1.0k-1~deb9u1 の依存パッケージ
('apt-get -Vs upgrade' でエラーが発生)
4. [Mew 6.8 で draft メッセージが作成できない] ことへの対応
【発生事象】
[エラーメッセージ] Symbol's value as variable is viod: default-buffer-file-coding-system
・原因
Emacs 26.1 では、default-buffer-file-coding-system が削除されているため。
【パッケージ】
emacs24 1:26.1+1-3.2+deb10u1
mew 1:6.8-4
mew-bin 1:6.8-4
【対応】
~/.emacs 等で default-buffer-file-coding-system に想定する値を設定する。
(例) (when (>= emacs-major-version 26) ;; enable to send mail with Mew 6.8 (setq default-buffer-file-coding-system 'sjis-unix))
5. [Emacs 26.1 での句読点の日本語変換で文字化けする] ことへの対応
【発生事象】
・'、' への変換で、\343\200\201 と表示される。
・'。' への変換で、\343\200\202 と表示される。
・vim では、この問題は発生しない。
・Anthy の問題の可能性が高い。
(anthy 9100h にバージョンダウンしたいが、依存パッケージが多い。)
【パッケージ】
emacs24 1:26.1+1-3.2+deb10u1
anthy 1:0.3-8.1
anthy-common 1:0.3-8.1
anthy-el 1:0.3-8.1
libanthy1:i386 1:0.3-8.1
libanthyinput0:i386 1:0.3-8.1
uim-anthy 1:1.8.8-4
【対応】
取り敢えず、~/.emacs の Anthy の設定に、下記のような設定を追加する。
日本語の入力については、他のシステム上、または本システム上の vim で実施する。
(cf. /usr/share/emacs/site-lisp/anthy/anthy-conf.el)
(let ((anthy-version (shell-command-to-string "dpkg-query -W anthy-el 2>/dev/null | awk '{printf $2}'"))) (cond ;; patch for anthy-el 1:0.3-8.1 ((string= anthy-version "1:0.3-8.1") (setq anthy-alt-char-map '(("," "、") ("." "。") ("-" "ー") ("1" "1") ("2" "2") ("3" "3") ("4" "4") ("5" "5") ("6" "6") ("7" "7") ("8" "8") ("9" "9") ("0" "0") ("!" "!") ("\"" "\"") ("#" "#") ("$" "$") ("%" "%") ("&" "&") ("'" "'") ("(" "(") (")" ")") ("^" "^") ("\\" "\\") ("[" "[") (";" ";") (":" ":") ("]" "]") ("/" "/") ("=" "=") ("~" "~") ("|" "|") ("`" "`") ("{" "{") ("+" "+") ("*" "*") ("}" "}") ("<" "<") (">" ">") ("?" "?") ("_" "_"))) (anthy-load-hiragana-map anthy-alt-char-map))))
異なるバージョンの Emacs について、同様の問題が発生したとの情報がある。
(cf. https://tsaitoh.net/wp/2018/05/10/emacs-anthy-mozc/)
この点からも、Emacs の問題ではなく、anthy 0.3 の問題と思われる。